日本は災害の多い国です。毎年のように起こる水害。しかも温暖化のせいか、数十年に一度の規模の水害も近年多発しています。台風も毎年のように上陸し、これもまた規模が大きくなっています。
そして地震。日本は地震国。これまでも、そしてこれからも地震の危機にさらされます。
インドネシアも世界有数の地震国。そして、日本と同じような自然災害も起きます。
バリ島で暮らしていく上で、知っておかなければならない災害、そしてその対策をご紹介します。
目次
1 バリ島の災害の傾向
1-1 台風
バリ島に台風はあるか?
バリ島には台風は来ません。台風は赤道より北で発生するので、赤道より南のバリ島では影響を受けることはありません。
赤道より南ということは、サイクロンの上陸はあるのでは?もちろん、可能性がないとは言えませんが、心配することはないと思います。
オーストラリアの北で発生する熱帯低気圧やサイクロンの影響は受けますが、直撃ということ今のところありません。ただ、高潮、風雨の影響は受けます。
ちなみに、サイクロンは右巻き。北半球と反対です。
1-2 竜巻
竜巻?がやって来た!
バリ島は竜巻は発生します。大陸ではないので、海上以外では大きなものはありません。
ちなみに5、6年前の雨季から乾季の変わり目に、我が家の近くに竜巻が襲来しました。
天気は曇り。急に温度が下がって、サーっと冷たい風が吹いたかと思うと、西からかなりの低い位置、手が届くんじゃないかと思うほどの低さで真っ黒な雲が、すごいスピードで流れて来ました。
ただならぬ気配と、どんどん強くなる風。この段階でもしかしたら竜巻かも、と思いました。まず一階の裏口と玄関を閉めました。一刻も早く二階に上がり窓を閉めねば!
寝室のドアが開かない!
二階に上がり、まずは猫たちのいる寝室へ。ただならぬ気配に、猫たちもかなり怯えている様子。
窓を閉め、二階の他の窓も閉めようとドアを開けようとしましたが、開きません。外からの風圧でドアが開かない!閉めないと、家の中がとんでもないことになる。
こんな時、バリ島の家のドアの内開きの法則は困ったこと。体当たりもできず、とにかくこじ開けて外に出て窓を閉めました。二階の窓から眺めると、空を色んなものが舞っています。
我が家はおかげさまで被害なしで済みましたが、二本南側のGang(路地)を小さな竜巻が通ったようで、屋根瓦が飛んだり、サンガというバリヒンドゥー教の家寺が壊れたりしたそうです。
それほど大きくもなく、直撃ではなかったのですが、初めての竜巻は結構な衝撃でした。
1-3 水害
それは人為的な水害でしょ!
バリ島の気候はは雨季と乾季に分かれます。乾季は、全くと言っていいほど雨が降らないので水害の心配はありません。雨季も日本の梅雨と違い、一日中雨がシトシト降る、ということは少ないです。降る時は派手に降ります。
バリ島の雨粒は大きい。頭に突き刺さる感じです。あっという間にずぶ濡れ。そんな勢いで降る雨で道路は瞬く間に冠水します。でもこれは人為的なものが原因の場合が多いのです。
側溝に溜まったゴミが水の流れを堰き止め溢れるわけです。いくらバリ島の雨が凄いと言っても、ほんの短時間で大きな道路が冠水なんて考えられません。その証拠に下水道が整備されてからは、道路の冠水は少なくなりました。
土砂崩れ
私達が住んでいるデンパサールの都市部は、平地なので土砂崩れの心配はありませんが、バリ島は実は土砂崩れは多いです。
郊外や農村部に行くと、川の護岸工事や斜面の法面工事はほとんどされていません。雨季に激しい雨が一日中降り続いたりすると、土砂崩れが起きます。農村部も徐々に開発されているので、これからも土砂崩れの機会は増すかもしれません。
意外と多い倒木被害
倒木被害。日本でも台風の時などにありますよね。バリ島では倒木被害が結構あります。
木の下敷きになって壊れた車や、運が悪ければ人が亡くなることも。
倒木被害は風雨の強い時に起きます。ただ、台風のないバリ島。風といっても台風ほどではない。なぜ木はいとも簡単に倒れるのか。
バリ島の木の根の張り方が問題のようです。根の張り方が浅い。根を深く張って土から養分を取らなくても、茂った葉から十分に養分が取れるからなのか。そして成長は早い。加えて、こまめに枝を払うなどの手入れをしない。葉で頭でっかちになった木は、根で支えきれずに倒れる、という事です。
1-4 バリ島の天気予報
バリ島の天気予報は当てになるか?もちろんバリ島にも天気予報は有ります。インドネシアにもちゃんと気象庁は有りますよ。
BMKG(Badan Meteorologi, Klimatologi, dan Geofisika )と検索してみてください。ちなみにアプリも有ります。
日本ほどきめ細かい、そして正確な予報は無理ですが、当てにはなります。
バリ島の雨はピンポイントで降ることも多いので、予報するのも難しいです。ここは降ってないのに、50メートル先が雨で煙っている、ということも珍しくありません。
1-5 地震
インドネシアは地震国
インドネシアは日本に負けない地震国です。国の形を見たらわかりますよね。
ユーラシアプレート、オーストラリアプレートの接合面があり、フィリピンプレートもかすめている。地震がないはずありません。
記憶に新しいところでは、スマトラ沖地震。そしてバリ島でも2018年7月、8月に、隣のロンボク島の地震が複数回有り、バリ島もかなりの揺れを感じました。
ちょうど夜ゴミ出しをして門の鍵をしめようとした時、突然の揺れ。門扉につかまってしまったほどの揺れが、結構長く続きました。直ぐに近所の人が外へ飛び出してきました。
日本では、揺れが収まるまで家の中のテーブルの下などに避難、が普通です。でも耐震構造などとは無縁のバリ島の建築。家の中にとどまるなど言語道断。素早く外へ避難、が常識です。
日頃の地震では外に出ない私。「早いね!」と褒められました。
バリ島では被害は限定的でしたが、ロンボク島では多数の死者がでました。バリ島の南部の沖合を震源とする地震も、定期的に起きています。
毎日何処かが揺れている
これは地震が起きた時、どこで起きたか、マグニチュード、津波の可能性などの速報です。矢印の通知は、マグニチュード4.3の体感地震。震源はアチェ州のJANTOHO沖47km、深さ19km。タップするとさらに詳しい情報に飛びます。
前述のインドネシアの気象庁BMKGのアプリを入れておけば、地震が起きた後に届きます。残念ながら、緊急地震速報ではありません。
2018年のロンボク島での地震の時にインストールしたのですが、当時は余震が多く、ひっきりなしに鳴っていました。
そして、インドネシア全土の地震が全て入ってくるので、毎日鳴らない日はない、といっても過言ではないほどです。インドネシアは日本以上の地震国だと再認識しました。
TUNAMIは怖い
地震があるとご近所はその話で持ちきり。彼らが一番怖がるのは津波です。
スマトラ沖地震の時の、アチェ州の津波の映像の記憶があまりにも強烈なのに加えて、東日本大震災の時の津波の映像が、更に彼らに恐怖感を植え付けたようです。
バリ島には津波の警報のサイレン、海岸の近くには避難場所を示す看板が有ります。
1-6 テロ
自然災害ではありませんが、テロも忘れてはいけません。
2002年、2005年に起きた、バリ島のテロでは、日本人を含めて多くの方が犠牲になりました。今も後遺症で苦しんでいる人もいます。グラウンドゼロには訪れる人が後を絶ちません。
インドネシアはイスラム教の信者が多いのはご存知の通り。その中には原理主義思考の人もいます。彼らからみると、バリ島はインドネシアでは異質な場所、許しがたい場所になるのでしょうが、そんな事はテロの理由にはなりません。根本的に間違っています。
私達外国人は、いつでもそのことを頭の片隅にとどめておく必要がありそうです。
2 バリ島の災害の対策
2-1 風への対策
風向きを把握することは大切です。
バリ島の住宅は外気が入ってくるようにスカスカ。窓はルーバー(しかも我が家は固定)だったり、換気のために天井近くが格子になっていたり。とにかく、よく言えば換気がよく、悪く言えば、外と中との区別は有るのか、という具合です。
そのため雨も風向きによっては、家の中まで振りこんできます。我が家の台所は外と繋がっているので、風雨だと料理どころではありません。バリ島には、すだれやよしずも有るので、風向きを把握して利用しましょう。
年明けから旧正月を過ぎる頃までは、風の強い季節です。その前には、倒木の予防と電線に枝が当たるのを防ぐためにも、庭木の枝打ちや剪定をしましょう。
2-2 竜巻は冷たい風と黒い雲に注意
日本でも竜巻のニュースが時々ありますよね。その時の対策と同じです。上空に寒気が入ってくると、急に暗くなったり、黒い雲の流れが速くなったり、気温が下がって風が強くなったら、竜巻を疑いましょう。
家のドア、窓を閉じて鍵をかけてください。鍵をかけないと、隙間だらけのバリ島の家。風の力で窓やドアが開くことがあります。
もちろん、外出中はすぐに建物の中へ。大木であっても、木の下は危険です。特にバイクの時は早めに!
ヒョウにも気をつけよう
何年かに一度、ヒョウが降ることがあります。バリ島のヒョウはかなり大きい。車のフロントガラスが割れるほどの威力です。気温が下がって冷たい風が吹いたら、ヒョウにも気をつけましょう。
2-3 家選びは慎重に
家を選ぶ時、近所の人に雨季の様子を聞きましょう。可能なら下水道のあるエリアがいいと思います。家もかさ上げしてある家を選ぶのが賢明です。大通りから下った住宅街もできれば避けた方が賢明です。
傾斜地や小川に注意!
傾斜地はもちろんですが、近くに小川がある所も注意が必要です。川にゴミを捨てる不届き者も多いので、少しの雨でも溢れることがあります。
側溝の掃除をしよう
たとえ下水道がある所でも、家の前の側溝は掃除しましょう。ゴミや枯葉がたまって流れが悪くなります。
うちのバンジャールでは、月に一度第一日曜日は、一斉清掃の日。朝から側溝を掃除したり、草を刈ったりしています。死に水を作らないのは、デング熱の抑止効果もありますね。
庭木の手入れを忘れずに
バリ島の木や植物の成長速度はとんでもなく速い。木はあっという間に葉が茂り、草は生えてきたと思ったら草むらに。特に雨季の前。倒木を避けるためにも、枝は払いましょう。電線に枝が当たるのも良くないですよね。
2-4 備蓄は必要
もちろん備蓄は必要です。地震の場合、日本なら3日から1週間の備蓄を、と言いますが、インドネシアではどうなのか、考えてみました。
バリ島は島です。もし地震が起きて、島外からの物流が止まればたちまち困ります。
水は、19Lのガロンというボトルで買っている人が多いと思います。最低でも1週間分はストックが必要。できれば水はもっとあった方が安心です。
ガスはいわゆるプロパンガスなので、ボンベさえ無事なら使えます。カセットコンロも売られていますから、準備した方がいいですね。
電気は、自家発電設備があればいいですが、燃料が手に入るかどうかは微妙です。
食料品。ガスは使えそうなので、お米とかインスタント食品は備蓄した方がいいです。
我が家のようにペットの居るお宅は、ペットフードの備蓄も必要ですね。
日本のような避難所は期待できないので、テントがあればいいと思ったこともありますが、バリ島で避難生活は日本人には無理だと思います。移動手段が確保できた時点で、帰国するか、他の島へ移ったほうがいいと思います。
揺れたら何が何でも脱出!
地震が起きたら、早めに家の外へ!
家の下敷きはご免です。バリ島の家屋を信用してはいけません。地震速報のアプリで、バリ島や周辺の地震が頻発した時は、避難の準備もお忘れなく。
もちろん、日頃から家の周りを、電線が切れたらどうするか、とかチェックして下さいね。ただ出るだけだとかえって危険なこともあります。
頼れるのは現金
バリ島に残るのも、移動するのも大事なのは資金。現金です。クレジットカードが有っても、通信がダメなら使えません。たとえ使えたとしても、商売をする方は現金化するまで時間がかかるカードより、現金の方がいいはずです。
1週間分の生活費+航空券購入資金くらいは、現金で持っていた方が安心ですね。
まとめ
災害は予測できる物もありますが、おしなべて突然やってくるもの。インドネシアでは日本のような援助は受けられない、と思った方がいいと思います。
災害の準備に完璧はあり得ません。自分のできる範囲で準備するしかありません。日頃から、被害を少なくできる可能性があることはやり、心の準備だけはしっかりやらなければ、と思っています。