バリ島のライフラインを考えるとき大事な事、それは日本のライフラインのレベルを、綺麗さっぱり忘れる事です。決して比べてはいけません。腹が立つだけです。
日本のライフラインがいかに素晴らしいかを実感できる、というメリットはあります。
日本のライフラインとメンテナンスの水準は、世界でトップクラスですから。
かといって不安になる必要はありません。大丈夫です。
思い出してください。リタイアメント世代は昭和の世代。昔の日本のライフラインの脆弱さも経験しています。知恵も持っています。懐かしさすら感じるかもしれません。
目次
1 電気
1-1 インドネシアの電圧
インドネシアの電気は220Vです。バリ島の一般の家は1300W〜2200Wの所が多いようです。日本人がストレスなく電気を使うには足りません。気に入った家が見つかったら、ワット数を聞いて足りないようなら上げてもらってください。
1-2 突然の停電と無計画停電?
突然の停電
バリ島は停電が結構あります。しかも突然。
すごい雷雨の時なら、こんな天気だから仕方ない、とも思えますが、さっぱり理由が推測できない時も、突然消えます。
今日停電したから、明日は大丈夫だろう、と思ってもやっぱり消えるときは消えます。
そしていつ復旧するかは神と電力会社のみぞ知る。
計画停電と言う名の無計画停電
バリ島には数カ所のガスタービン発電所が有ります。
ガスタービンは定期的なメンテナンスが必要で、発電機を止めてメンテナンスする時は、新聞などで電力を大量に消費する時間帯を示して、この時間帯は節電するようにね、さもないと停電するよ。と公告があります。
大規模なメンテナンスの時は計画停電が有ります。新聞にその日に停電するエリアが載るのですが、その通りだった事はありません。そう無計画停電です。
今日は載ってないから大丈夫、と思った日は停電。載ってるから早めに心の準備をしていたら停電なし。時間もわかりません。いっそ知らない方がマシなくらいです。バリ人はそれでもなんの文句も言いません。言っても無駄なことがわかっているから。
もちろん電力会社(PLN)に電話することもありません。誰も出ないのがわかっているから。
停電があるたびにイライラする私。停電だね、と言ってニコニコしているご近所さん。人としての器の違いを感じる時です。
自家発電機を設置する方法も
もちろんお金持ちのお宅や日本人のお宅は、停電に備えて自家発電を準備しているお宅もあります。
ただこれも使わない時でも定期的に稼働させなければなりませんし、メンテナンスを怠ると、いざという時役に立たないということもあります。
自家発電機はともかくとして、懐中電灯やろうそくは常備しておく必要があります。
バリ島で停電が多い事情
バリ島には数カ所のガスタービン発電所が有ります。バリ島は観光地でホテルも多いのでそれだけでは賄えず、ジャワ島からケーブルで電力を供給しています。
停電の原因の一つは慢性的な電力不足です。
バリ人に比べれば外国人の私達は多くの電力を使うので、あまり文句も言えませんね。
それでも停電は一時期よりは少なくなりました。
バリ島の電力事情も少しずつ改善されてはいます。
1-3 停電から精密機器を守る
我が家の停電対策
この停電、実はなかなか手強い。復旧した時、過電流で精密機器が壊れることもあります。
私達が移住した当初使っていたケーブルテレビのディコーダー、復旧時の過電流で壊れました。
反対にバリ島は電圧が安定していないので、低電圧の時もあります。デスクトップパソコンを使っている方は、スタボル(電圧安定化装置)とUPS(無停電電源装置)は必須です。
これは我が家のスタボル。サビもきてかなり汚い!でも12年間、なんのトラブルもなく頑張っていますから仕方ないかと。
低電圧の時など頑張って作動している音がします。
片方のコンセントは日本の電気製品も使えるように、100Vに調整してあります。白いのはマルチプラグで日本のプラグにも対応しています。
でも気をつけてください。以前コンセントを間違えて220Vに繋いで、コーヒーメーカーを瞬殺した苦い体験があります。
日本の電気製品を使うときはスタボルは必須です。
買った時の値段は忘れましたが、今でも¥5,000までではないかと思います。
UPSは突然の停電でもデスクトップパソコンを守ってくれます。我が家のUPSは停電しても15分は大丈夫(らしい)です。これも¥5,000くらいだと思います。
1-4 電気料金の支払い方法
電気料金の支払いは二つあります。
日本と同じ後払い
月末に検針の人が来て、月初にATMやネットバンキング、コンビニで支払います。我が家はこのタイプ。借家の場合、契約者は大家の名前です。契約番号と契約者の名前を確認してください。日本のように利用者の名前ではありません。電気料金のお知らせの紙も来ません。契約者番号をATMに入力すると、料金が表示されます。
Pulsa(プルサ)による前払い
メーターがPulsa方式の場合です。テンキーが付いています。トークンと同じ方式です。まず、ATM、ネットバンキング、コンビニなどでPulsaを購入します。
いくら購入するかは自由です。レシートに番号が書いてあるので、その番号をメーターのテンキーに入力すると使えます。
残高が少なくなると、かなりけたたましくピーピー鳴るようです。
前払いなので、電力会社は取りっぱぐれを防げます。利用者は無駄遣いを防げるかもしれませんね。
ポイント
Pulsaとは何か?
一言で言えば、残高のこと。電子マネーのチャージと同じといった方がわかりやすいかもしれません。インドネシアは携帯電話もこのPulsa方式がほとんどです。口座引き落としもできるようですが、まだまだ少数派です。
2 ガス
2-1 懐かしのプロパンガス
バリ島はいわゆるプロパンガスです。
LPG(エル ピー ジー)と呼んでいます。ボンベの容量で大きさが違います。我が家で使っているのは12キロです。中身だけの重量なので、ボンベは一人では運べないくらい重い。配達してくれるところもあります。
2-2 ガス代は安い!
ガスボンベは保証金が必要
最初は、ボンベの保証金が必要です。
ボンベを返せばお金も返してもらえます。
ガスの充填はお店によって違いますが、我が家の12kgでは、Rp.130,000(約¥1,000)です。
普通に料理に使うだけなら、2ヶ月から3ヶ月くらいは持ちます。
浴室でガス湯沸かし器を使われる時はもっと短くなります。
ガス代は安い、さすが天然ガスの産出国。
ボンベのパッキンに注意
ガス交換の時、レギュレータの取り付けがなかなかうまくいかず、ガスが漏れることがあります。多くの場合、ボンベのパッキンが劣化していたり潰れたりしています。
パッキンの予備を用意しておくことをお勧めします。レジ袋を切って巻くという裏技もあります。
ガス漏れの爆発事故や火災は結構あるので注意が必要です。
時々フルに充填されてないのもあって、いくらなんでも無くなるのが早すぎる!こともあります。そのときは諦めるしかありません。
3 水道と井戸水
3-1 バリ島にも有る上水道
人間が生活していく上で何より大切な水。
バリ島にも上水道のPDAM(PAM、パムと言います)は有ります。
普通はPAMか井戸水のどちらか、又は両方を使っています。PAMは上水道といっても飲めません。
煮沸すれば飲めるとはいいますが。飲料用にはバリ人もミネラルウォーターを買っています。
エリアによっては使い物にならないPAM
このPAM、エリアや時間帯(朝や夕方)によってチョロチョロしか出なかったり、断水したりで我が家のエリアでは使い物になりません。
水道管の破損で道路に水が漏れることがありますが、チョロチョロ漏れるくらい。あれでは水圧が足りなくて当たり前。日本の道路の水道管が破裂したら、凄い勢いで水柱が立っています。初期設定から違います。
洗濯はタイマーで真夜中にしていましたが、それでも出ない時もあって、結局洗濯機に無理をさせた結果、自動給水の部品が壊れてしまいました。
出る時間帯にタンクに貯めておいて使う、という方法もありますが、断水が数日続くこともあり(もちろん突然、予告なく)、多くの家では井戸水も併用しています。
3-2 井戸水有ります
日本の井戸との違い
バリ島の水事情は昔の日本と変わらない
私達が子供の頃はまだ井戸水を使っていた家も有りました。当時は、夏になれば毎年渇水の心配をしなければならないこともしばしば。
夏場は水質も落ちていました。家でも学校でも、「生水は飲んではいけない」とうるさく言われていました。そのため、上水道は使っていても井戸を残して、生活用水として使っていた家も多かったのです。
上水道は断水しても、井戸水は枯れませんでした。
日本でも、今はそれほど心配はないと思いますが、地方によっては夏場の渇水の心配はありますよね。
バリ島の井戸と日本の井戸の違い
日本の井戸水といえば、地下水を貯めてそこから汲み上げて使う、というイメージです。
古井戸に子供が落ちたという事故も、こんな井戸だから起きることです。
バリ島の井戸はボーリングしてパイプを設置して、直接汲み上げて使うタイプです。
井戸水の水質はボーリングの深さ次第。
以前の井戸は多分浅かったので匂いもするし、洗濯に使うと鉄分の関係で変色して使えませんでした。家を選ぶ時は水が一番大事です。
できればPAMと井戸、両方あった方が安心です。井戸水も匂いや色をチェックする事をお勧めします。
3-3 我が家の新しい井戸のボーリング体験
私の家ではその井戸がついに枯れてしまいました。呼び水をしながら使っていましたが、家主が新しい井戸を掘ってくれました。
今度は60m掘るから水も綺麗だよ、煮沸すれば飲める、と言われてもにわかに信用できない私達。
しかし工事が始まる前に運び込まれたパイプの数で、本当にやる気だとわかりました。
手掘りの井戸も多い中なんと機械掘り。騒音に耐えつつ待つこと3日。本当に匂いもなく洗濯にも使える水が出ました。
家主さん、疑ってごめんね。それ以降、家主に会う度、井戸の深さ60mの話をされますが、喜んで拝聴しています。
井戸を新しくしたのでちゃんとウパチャラ
井戸が枯れるなんて、縁起が悪い!古い井戸をちゃんとしなければ!と思う私達の年代の日本人。
日本なら神主さんに聞くところです。
とりあえずバリヒンドゥー教のお坊さんに聞いてみると、バリ島でも井戸を新しくした時はちゃんと祭事をする、とのこと。
新しい井戸が出来てから、古い井戸を閉めて新しい井戸にするためのウパチャラ(バリヒンドゥー教の祭事)をしました。この辺りの考え方はは日本人とバリ人は同じです。
3-4 全てはボーリングの深度
井戸水が綺麗かどうかは、もちろんエリアにもよりますがボーリングの深さに尽きます。
特に住宅密集地の井戸は、浅いとすぐ枯れてしまったり臭いがしたりすることもあります。
もし家を建てるなら、水関係には費用をかけることをお勧めします。
まとめ
バリ島のインフラは、日本の昭和の高度成長期のレベルです。私達の年代にとっては、そんなこともあったなと懐かしさすら感じます。
が、不便な生活から便利な生活になって久しいためか、また不便な生活に戻るのは、より一層のストレスにもなります。人間とは、かくも易きに流れるものなのか、と呆れることも。
でも大丈夫です。郷に入っては郷に従え。人間が普通に生活している場所なら、大抵のことは何とかなるものです。