一昔前に、バリ島を始め東南アジアのリタイアメント移住は、物価も安くて銀行金利も良く、悠々自適のリタイアメント生活と言われていた時期がありました。
その後、東南アジアの経済発展が進むにつれ物価も上がり、かたや日本はデフレに。東南アジアにリタイアメント移住するメリットはもう無い、と言う人もいます。
特にバリ島は物価も高くなったし、今更バリ島で年金生活は難しい、と言う人もいます。
本当のところはどうなのか?
年金だけで生活していけるのか?
答えは、できます。
もちろん以前のような、年金生活で貯蓄もできる、といったことは望めなくなりました。
しかし、年金収入だけでバリ島の優雅なリゾート生活がしたい、と言う人は別として、まだまだ日本と比べれば生活費は抑えられる、と言うのが、私達がバリ島移住して10年過ぎた実感です。
1 一ヶ月の生活費のモデルケース
私達の一ヶ月の生活費をもとにしたモデルケースです。レートは2019年の平均的なレート、¥1=Rp.125で計算しています。
- 家賃(月割り換算) ¥40,000
一応ビザの発給の条件に合った住宅の場合。もっと安い住宅でもビザの取得はできます。プールは無しとしています。
- 水道光熱費 ¥ 8,000
電気、水道、ガス。エアコンの台数と稼働時間によってもっと高くなります。
- 通信・交通費 ¥7,000
Wifiとケーブルテレビ、携帯電話2台分。配車アプリを使ったタクシー代。
- 食費 ¥20,000
基本自炊で日本食を作って、時々外食した場合です。単身者で自炊はせず、近くのお店でテイクアウトが基本だと、もっと安くなります。飲料水も含みます。
- 家庭用消耗品 ¥3,000
ここまでの合計で、¥78,000。その他、理美容院代、被服費など。お酒を飲む人は酒代。(インドネシアはお酒は高いです)喫煙者はタバコ代。趣味の有る人はその費用などで変わってきます。
他に固定費としては毎年のKITASの延長費用です。
ビザエージェントによって多少違いますが、SKTTというKITAS取得後の住民登録カードの取得も含めて、約¥85,000前後です。一年毎の延長手続きも同額です。
月割りにすると、¥7,500/一人なので、夫婦で¥15,000前後です。
合計、夫婦二人で一ヶ月約10万円。
もちろん、単身ならもっと安いですし、多めに見積もっているので、節約もできます。
コスと呼ばれるアパートは、電気代、Wifi込みのことも多いです。
このモデルケースは、私達の生活費を元にしていますので、ライフスタイルによってはもっとかかるでしょう。
例えば、マリンスポーツが好きで海の近くに住みたい、と思えば家賃が高くなります。
一年に一度日本に一時帰国する人は、その費用も、時々はインドネシア国内を小旅行したい人はその費用も必要です。
2 見積もりをしてみよう
モデルケースをもとに、それぞれのライフスタイルに合わせて見積もりをしてみましょう。
2-1 日本と比べて、バリ島で必要のない
バリ島で必要のない支出
- 一番違うのは海外転出届を出した場合、税金、公的保険料の支出がないことです。
- バリ島は常夏なので、日本のような季節性の支出がありません。光熱費は特に暑い時期には多少上がりますが、年中ほぼ同じ。服装もほぼ同じ。日本のように、防寒用の厚手の衣服や靴は必要ありません。
- 交際費が抑えられます。義理を欠くわけにいかないので仕方なく、という付き合いはしなくても済みます。
バリ島だから必要な支出
- KITASの延長料金。
- バンジャールなどの会費。各種証明書の取得費用。
- 医療費。日本のように健康保険制度が整備されていないので、病気をした時のために、海外旅行保険や医療保険の加入をお勧めします。
- 定期的な健康診断はバリ島でも受けられるので、必要経費と思って受けることも大切です。早めに治療すれば医療費も安くて済みますし、いざという時の帰国のタイミングも逃すことがありません。
2-2 バリ島移住生活で譲れないことを決めよう
南国の夕暮れ、冷えたビールの晩酌は譲れない、とか、趣味のための支出は確保したい、とか、それぞれ譲れないものはあります。
うちの場合はネコたちのフードとトイレの砂だけは、何が何でも必要です。
何もかも頑張って節約するより、譲れないものにはちゃんと支出して、他で節約した方が心穏やかに暮らせます。
3 無理な節約は逆効果
年金生活をするためには倹約は必要です。だからといって、極端な倹約はやめたほうがいいと思います。
年金の範囲内で生活できればいい、貯蓄ができる時はする。臨時の出費は貯蓄から、と割り切ることです。
長年日本の生活をしてきて、節約のために急に全てをバリ島のローカルの生活にすることは無理があります。
最初はうまくいっても、必ずどこかで挫折します。夫婦で移住した人は、それが夫婦間のいざこざを生むことも。
日本食材スーパーに行って値段を見ると、思わず手を引っ込めたくなる、その気持ちわかります。
バリ島はインドネシアの中でも、首都ジャカルタに次ぐ、あるいはジャカルタよりも物価は高い所です。しかも経済成長に伴い、私達が移住した頃から比べると、物価は1.5倍〜物によっては2倍以上になりました。
デフレで安売りに慣れている日本人にとっては、バリ島の物価の方が高く感じることもあります。ましてや日本からの輸入品だと、日本の値段を知っているだけに買う気も失せます。
でも高くても必要だと思ったものは手に入れるべき。その赤字分は他で少しづつ吸収させていけばいいのです。歳をとって文化も風習も違うところで暮らすのは、ある意味人生最後の心の修行です。
でも、倹約にばかり気を取られて、ギスギスしているとバリ島移住の意味がない!経済的にはそれほど豊かでなくても心は豊かに暮らしたい、とバリ島移住を決めたのに、本末転倒です。
しかも不思議なことに、頑張って倹約してこれだけ浮いた!と喜んでいたら思わぬ出費が降ってきてチャラ!これは私達がバリ島移住して、何度も経験したことです。
バリ島移住生活で必要なこと。何事に関しても、無理はしない!
まとめ
一昔前のようなバリ島の優雅な年金生活は、普通の年金生活者には望めません。
でもまだまだバリ島リタイアメント移住は魅力があると思っています。
なぜなのか?
私達はたまに観光エリアのビーチで、サンセットを見ながらビールなんか飲んだり、小旅行をしたりすると、「飛行機に乗らずにバリ島に来た!」と思うくらい、普段は普通の暮らしですが、十分優雅に暮らしていると感じます。
それは、お金では計りきれないバリ島の何か、なのだと思います。
バリ島に暮らして今年で約12年、未だにその何かを探している途中です。