バリ島移住を決めたら、色々な準備が必要です。私達はネコと一緒の移住だったので、自分たちのビザのことも、そしてネコの許可のことも並行して行わなければなりませんでした。
当時はネットの情報もほとんどなく、人間のビザ取得より苦労しました。でも動物を飼った以上、最後まで責任を持たなければなりません。
私達の経験をもとに、2020年5月現在の手続き開始から、バリ島到着までの流れをまとめました。
目次
1 ペットと一緒のバリ島移住は可能?
1-1 バリ島には哺乳類の持ち込みはできない
結論から言いますが、狂犬病の問題で、2020年5月現在、バリ島に哺乳類の持ち込み、持ち出しは禁止されています。ペットと一緒にバリ島に移住することはできません。
バリ島に狂犬病を持ち込まれると困る、というのが理由。あのね、バリ島は昔から狂犬病あるでしょ?日本は汚染国じゃないのに、なんで?今更、バリ島に狂犬病を持ち込まれると困るって、おかしいでしょ!と叫んでみても、規則ですから従わざるを得ません。
私達がネコとバリ島移住した2008年7月は、まだバリ島にペットを持ち込むことはできました。しかしその年の10月、突然全ての哺乳類の、バリ島外からの持ち込み、バリ島外への持ち出しが禁止になりました。
今から考えれば、本当に間一髪のところでした。
じゃあ、なぜ今更、と思われるかもしれませんが、バリ島の規則はいつ変更になるかわかりません。狂犬病対策もされているので、感染自体も減っています。近い将来、再びペットとバリ島移住ができるようになるかもしれません。
バリ島に移住したい、その時はペットも一緒に、と考えている方、バリ島ではないけれど、インドネシアにペットと一緒に長期滞在や移住を考えている方の参考になればと思います。
1-2 それでもペットと一緒にバリ島移住したい方に
バリ島以外のインドネシアにペットを持ち込むことは可能です。日本から空路でジャカルタにペットとともに入国することはできます。そこから陸路とフェリーでバリ島へ渡る、という方法が有ります。
実際、その方法でバリ島にペットを持ち込む方もいますし、ジャカルタからバリ島までの輸送を手配してくれる代行業者も有るようで、この方法を紹介するサイトもあります。
ただ、これは違法であることに変わりはありません。もし、バリ島までのフェリーなどで、ペットを運んでいることがわかればそこで終わりです。
飛行機ほど厳しい検査はないとしても、ペットは生き物。鳴き声を上げれば終わりです。そのため、ペットを薬で眠らせておく必要があります。
ペットに与える負担を考えても、それでもペットと一緒にバリ島移住をしなければならないか、今一度考えて決めてください。
2 インドネシアにペットを持ち込む方法
2-1 動物の輸入に関する手続きを知ろう
ペットの移住は動物の輸出入
ペットをインドネシアに持ち込む、ということは、動物を輸入するということになりますので、手続きは動物の輸出入と同じです。
日本側の輸出許可とインドネシア側の輸入許可が必要
大まかな手続きの流れとしては、日本の動物の輸出許可とインドネシアの動物の輸入許可を受ける→インドネシアに到着後14日間の検疫→問題がなければ引き取り。
2-2 代行業者を決める
手続きは代行業者にお願いすることをお勧めします。日本からの輸出ので続きは自分でできますが、インドネシアの輸入許可を取るのは、自力では難しいと思います。
私達がペットの代行業者を探した時は、本当に情報が少なく、やっと引き受けてくれる業者が見つかっても、バリ島に送った経験がない、とかで心もとない対応でした。日本でも屈指の旅行会社なんですけどね。
そんな時、ネコのキャリーケースの規格を確認しようと、航空券を予約した旅行会社に連絡したら、詳しい業者がいるとのこと。早速連絡したら、経験もあり費用もかなり安かったのでそこにお願いしました。本当に運が良かったと思います。
2-3 航空会社の選定
ペットの輸送ができない航空会社もある
2020年5月現在、ガルーダインドネシア航空は動物の輸送は行っていません。
予告なく変更されることがあるので、航空券の予約の時に、動物の輸送はが可能かどうか確認してください。できれば直航便がいいと思います。
2-4 自分で用意しなければならない書類
必要書類
- 狂犬病ワクチン接種証明書(獣医師の署名押印)
- 狂犬病の抗体値検査証明書(獣医師の署名押印) ✳︎私達が輸入した時は必要なかった書類です。その代わり、狂犬病の予防接種は、到着の30日以前に済ませる、ということになっていました。
- 健康診断証明書(獣医師の署名押印)
- 輸入者の理由書(輸入者の署名押印)
- 輸入者のパスポートのコピー
- ペットの写真(2枚)顔と全身の写ったもの。何枚か撮ってデータを渡して選んでもらうといいと思います。
1〜4は英文。1〜3は獣医師に依頼すれば作ってもらえます。
4の理由書は代行業者が雛形を持っているので、署名押印だけでいいはずです。理由書といっても簡単なものですので、自分で作成可能です。
✳︎マイクロチップの埋め込みも必要です。
ワクチン接種について
ネコも狂犬病の予防接種が必要です。その他のネコのワクチンの証明書も用意しておいた方がいいと思います。
2-5 インドネシア側での手続き
輸入許可証取得
代行業者に依頼すれば全てやってくれます。上記の書類を渡したら2〜3週間で、農業省畜産生産総局 防疫課長から許可がおります。
代行業者からはそのコピーが送られて来ます。原本は到着後の手続きに必要なので、バリ島のスタッフが保管しています。輸入の有効期限は1カ月なので注意してください。
2-6 日本側での手続き
空港でペットの検疫
インドネシア側の許可がおりたら、出発の空港の動物検疫所へ、一週間前までに検疫予約をします。
その時、狂犬病ワクチン接種証明書、狂犬病抗体値検査証明書、健康診断証明書(1週間以内のもの)、申請書(ホームページからダウンロードできます)を事前送付します。ファクスでもOKです。予約時にその他必要書類があるかどうか、確認してください。
3 いざ空路インドネシアへ
検疫
検疫は通常、出発の3時間前に空港内の動物検疫所へ行きます。
獣医師が待っていますので、簡単な診断を受け、農林水産省動物検疫所発行の輸出許可証の交付を受けます。コピーを取っておく事をお勧めします。
フライトの時間の関係で、私達は空港内のホテルで前泊しました。ネコも空港内のペットホテルへ。シャンプーも済ませ、新幹線、列車を乗り継いで汚れたキャリーケースも綺麗に洗ってくださっていました。前日に検疫所の下見も済ませ、当日朝8時に検疫を受けました。
チェックイン
準備万端、いよいよ搭乗です。ネコの費用を支払い、スタッフの方が丁寧に運んでくださいました。ここで約7時間のお別れ。再会は現地の空港です。
費用は当時、キロ約¥4,400。ガルーダインドネシア航空はキャビンに持ち込むことはできませんが、貨物室にペット専用の空調完備の設備が有りました。
フライトの時間によっては、ご飯や水なども預ける事ができます。航空会社によって、ペットの重量によってはキャビンに持ち込むことのできる会社も有るようです。
4 インドネシア到着
ペットのピックアップ
やっと到着。バリ島で検疫を受けるので、入国の手続きを早く済ませたいこと、移住の荷物が多いこともあり、ビジネスクラスを選んだので、ネコは一番最初に空港のスタッフがハンドキャリーでうやうやしく連れて来てくれました。元気で一安心。
税関は要申告の赤ランプです。輸入許可証のコピーを提示します。私達の場合、スーツケース2つ。段ボール4個、+ネコ一匹。
ここでちょっとしたいざこざが。段ボールの一つは、いつでもすぐに使えるように、ネコのトイレと砂、ご飯が入っていました。厳重に梱包して、運びやすいよう紐もかけました。
赤ランプの税関職員。若い人なのでちょっと心配だったんですが、緊張した面持ちで、
「この段ボール開けてください」
「はあ?中身はネコのトイレと砂とご飯だよ。ここにネコいるでしょ!」
「でも… 開けてください」
「わかった。じゃあ、カッターと後でまた閉じるから、ガムテープと紐を持ってきて!」
どうしていいかわからなくて、オロオロしている若手の税関職員の後ろから、年配の税関職員登場。
「もういいですよ。行ってください」
若手の税関職員は不満そうでしたが、私達は空港内の、動物検疫所事務所に行かなければなりません。若手の研修の相手をしている暇はありません。
現地のスタッフと合流
やっと、現地代理店のスタッフと合流。動物検疫事務所へ。ここでの手続きが長い!検疫施設は別の所らしいのに!ここでバリ時間の洗礼です。
検疫所へ
事務所の手続きを終え、検疫のための施設へ。デンパサールです。夕方の渋滞に引っかかり、着いたのは暗くなってから。
外観は普通の大きな家のようです。中に入ると、検疫中の大型犬が何頭かいました。
ネコは別棟の二階。結構広い部屋にケージが並んでいますが、うちのネコだけ。クーラーも有ります。快適そうです。ベッドがあれば一緒に泊まれそう。
ちゃんとケージの中にトイレも有りました。砂も新しいのが入れてあって、お水もご飯の器も用意してありました。
検疫施設の中には職員さんの子供もいました。職員さんは住み込みのようです。さあ、14日間の検疫が始まりました。
5 14日の検疫期間
面会も可能
検疫中、ペットの面会は可能です。私達は毎日面会に行きました。職員の人たちも喜んで迎えてくれますよ。
実は短縮も可能?
実は短縮も可能です。もちろん違法?ですが、お金を払えばできます。
2週間は長いのでなかなか辛いですよね。
我慢できなかったのは私
インドネシアもそうですが、発展途上国では金額の多少はあっても賄賂はつきものです。
例えば運転免許。バリ島在住の外国人で、試験を受けて免許を取得する人は、ほとんどいないと思います。これはバリ人も同様。警察官のコネを探して、取得を依頼します。
指定された日時にお金を持っていけば、免許が取得できます。これが、バリ島では免許を買う、と言われる所以です。
私はそれだけはやめようと思っていました。法律、規則は順守。そうでなければインドネシアのシステムの批判などしてはいけない。
でも無理でした。1日目の面会はすぐに鳴きながら寄って来てくれました。しばらく相手をして帰りました。二日目、三日目とだんだんと喜ばなくなり、4日目は、お尻を向けたまま、振り向いて、「ニャン!」それっきり無視。
耐えきれず、5日目に家畜衛生局バリ島事務所長の部屋で、お金を渡して引き取りました。その金額は14日間の検疫の費用から、5日分を引いた金額とほぼ同じ。検疫料も支払いました。我が家の猫は5日間の検疫となりました。
ふと思うのは、あのまま14日間過ぎたらあっさり出してくれたのだろうか、ということ。もしかしたら、いずれにせよお金は払わなければいけなかったかも。
何だかんだと理由をつけて、お金を払うまで出してくれなかった可能性もあります。
帰り際にお礼を言った時、所長がつむった口に平行に人差し指を当てました。
「ん⁇」
日本人の内緒!のサインは、つむった口に人差し指を立てて当てますよね。インドネシアでは、つむった唇の隙間に沿って横に指を当てます。
それじゃ、ちゃんと塞げないよね。なるほど、それでインドネシア人は内緒が苦手なんだ。
まとめ
我が家のネコは片手に乗るくらいの時、保健所に連れていかれる寸前に引き取ったネコでした。バリ島移住の時11歳。そして17歳で虹の橋を渡りました。
もしバリ島に移住しないで、あのまま日本にいたらもっと長生きできたのかもしれない、とも思います。
飛行機での移動、検疫など、負担をかけてかわいそうなことをしたかもしれない、とも思います。
でも私達はネコと一緒にバリ島に移住できて、本当に良かったと思います。
将来また、バリ島にペットと一緒に移住できる日が来ることを祈って、このブログを書きました。
我が家の愛猫の在留許可証?です。