手続の話

2020年 リタイアメントビザ、KITAS・KITAP取得 徹底解説

バリ島にリタイアメント移住を決めたら、次は命の次に?大切なビザ取得の手続きです。

日本人がインドネシアへ入国するためには、ビザが必要です。

観光でバリ島に来たことがある方は、ビザは必要なかった、と思われるかもしれませんが、日本人は観光目的の場合、ビザを免除されているだけです。

観光目的でも、31日以上の滞在にはビザの取得が必要です。

そして、一年以上の滞在にはKITAS(キタス)、KITAP(キタップ)が必要です。

リタイアメントビザ、KITAS、KITAPの取得条件、手続き、抑えるべき注意点を経験者の視点で解説します。

1 ビザと居住許可証の違い

ビザだけでは居住することはできない

ビザは、その国にそのビザの目的で入国を許可する証明書です。
例えば観光ビザは、観光目的に限り、入国を許可する証明書です。

一方、居住許可証は、ビザの目的のために適法に居住することを許可する証明書です。日本では在留カードですね。
インドネシアでは、一年以上の滞在を認められたビザにはKITASが必要です。

インドネシアのビザの種類

1-1 観光ビザ30日

日本人は免除されていますので、パスポートさえあれば必要ありません。

1-2 観光ビザ60日(VOA要)

30日の観光ビザを、期限内にインドネシアの入管事務所で手続きをすれば30日延長できるビザです。

VOAというのは、Visa on arrivalの略で、到着時に空港で取得します、といっても、$35払って買う、といった方がわかりやすい。

空港に着いたら、イミグレーションに行く前に、VOAのカウンターでビザを取得します。それからイミグレーションカウンターへ。

VOAはインドネシアへ入国してから取得はできません!必ずイミグレーションカウンターへ行く前に、取得してください。同様に、30日のビザ免除で入国し、その後60日に延長することもできません!31日以上滞在するかもしれない時は、必ずVOAを取得してください!

1-3 ソシアルブダヤビザ

ロングステイで長期滞在を希望する方がよく利用するビザです。
目的は文化、芸術などの交流です。

インドネシア国外の在外公館(大使館や総領事館)で取得します。60日間滞在でき、期限内に入管事務所で30日間の延長ができます。しかもこの延長手続きは4回までできます。ということは、60日+(30日×4回)= 計180日の滞在が可能。

ソシアルブダヤビザは、滞在を許可された期間中でも、一度インドネシア国外に出ると失効します! 再入国はできません!

1-4 ビジネスビザ

一度取得すると1年間何度でも入国が可能なビザです。

ただし、一度の訪問は60日以内とされています。このビザは、商用のための訪問、例えば会議のために訪問するとか、商品を買い付けるなどの目的のためのビザです。

ビジネスビザという名称ですが、あくまで日本の会社の社員が、日本で報酬を得ていることが前提です。就労ビザとは違います。インドネシア国内で報酬を受け取ることはできません。その他、活動もかなり限られたものしかできないので注意が必要です!

1-5 留学生ビザ

その名の通り留学生のための、1年間有効なビザです。受け入れ大学や各種学校の入学許可書が必要です。

1-6 就労ビザ

インドネシア国内で就労できるビザです。これはかなりハードルの高いビザで、年々難しくなっています。日本側、インドネシア側の双方の会社の協力が必要です。学歴、職歴も必要です。

1-7 配偶者ビザ

インドネシア人の配偶者やリタイアメントビザを夫婦で取得する時の、配偶者のビザです。

夫婦でリタイアメント移住される時は、夫がリタイアメントビザを取得、妻は配偶者ビザを取得することになります。この場合の妻の年齢の制限はありません。

もし不幸にも夫が先に亡くなった場合、妻の配偶者ビザは有効期間内は有効です。期間を過ぎた場合は、妻自身のビザを取得する必要があります。

1-8 リタイアメントビザ

55歳以上の退職者で、年金や貯蓄を原資にインドネシアに居住する方が取得できるビザです。

2 居住許可証の種類

2-1 KITAS( Kartu Izin Terbatas Sementara)とは

暫時居住許可証です。一年間の居住が可能です。KITASは毎年一度4回まで、計5年出国不要で延長できます。リタイアメントビザとKITASの両方を取得して初めて、バリでのリタイアメント移住が始まります。

2-2 KITAP(Kartu Izin Tinggal Tetap) とは

日本語に訳すと、永住許可証になりますが、内容は違います。取得すると5年間有効な居住許可証です。KITAPの取得費用は、KITASの費用の約5年分です。

KITAPを取らない場合は、一旦インドネシア国外に出てKITASを取り直すこともできます。

2-3 KITAP Unlimited

アンリミテッドというだけに、取得すると居住許可証の延長は必要なくなります。定期的にレポートを入管事務所に提出する必要があります。

KITAP Unlimitedの取得費用は、KITASの費用の約10年分です。

3 インドネシアのリタイアメントビザ発給要件

3-1 満年齢が55歳以上であること

夫が55歳以上であれば、妻の年齢は何歳でも構いません。

3-2 健康保険、生命保険、損害保険に加入している事

日本で加入している生命保険、医療保険、損害保険でも構いません。損害保険はビザ代行業者(ビザエージェント、以下エージェントと言う)によっては、加入手続きをしてくれます。

エージェントによっては日本の国民健康保険やクレジットカードの付帯保険で大丈夫だという所もあります。

この保険の要件はエージェントによっても変わりますので、エージェント選びの時に確認してください。

3-3 月額$1500以上の年金受給者、または現地での生活費の支払い能力のある人

この要件は、原則として、と理解してください。

55歳以上というリタイアメントビザ取得要件では、そもそもまだ受給年齢に達してない方も取得資格があります。

月額$1500以上の年金受給額ですが、米ドルなので為替相場で流動的ですし、日本人の平均年金受給額から見ても高い設定です。

「年金や蓄えが少ないから、バリ島移住を考えているのに無理なのか?」そう考える方も多いと思います。

この要件に関しては、その心配は不要。年金受給額が少ない場合は、バリ島での生活に必要な費用の相当額の預金があれば大丈夫です。

預金金額はエージェントによって異なりますので(なぜ?)エージェントに直接お問い合わせください。この辺はおそらくエージェントと入管事務所の力関係ではないかと思います。

3-4インドネシア人を使用人として一名以上雇用する事

これはインドネシア人の雇用を促進するための要件です。お手伝いさんやドライバーさんなど生活をサポートしてくれる人を雇用しなさい、ということです。

住み込みか通いか、勤務形態、給料などの規定はありません。実際には雇用していない移住者も多いです。これもエージェントに相談すれば解決できる問題です。

3-5 指定された地域で、家を購入するか、月額$500以上の賃貸物件を借りる事

これも原則として、と理解してください。金額については、エージェントがうまく取り計らってくれますので、特に金額を気にせず自身に合った家を選んでください。

3-6インドネシア国内で就労しない事

これは絶対厳守してください!もし、入管事務所の調査で発覚すると、高額の罰金を取られてバリ島移住もそこでおしまいです。

3-7 政府の認可を受けた現地の旅行会社が保証人(スポンサー)になる事

バリ島には政府の認可を受けた現地の旅行会社=ビザ取得代行業者(エージェント)は数社しかありません。

ビザの取得料金もほぼ横並びです。どのエージェントを選ぶかは慎重に。日本人のスタッフがいるエージェントも有ります。

4 ビザ代行業者(ビザエージェント)選びは慎重に

「友達がイミグレーションに知り合いがいるから、やってあげる、と言っているので頼みたい」「費用が高いので、スポンサーはバリ人の友達になってもらって、自分でやります」という方もいますが、できません。

必ず、政府の認可を受けた現地の旅行会社がスポンサーになって手続きを行う必要があります。

最初のリタイアメントビザを取得する時に選んだスポンサーは、リタイアメントビザを破棄するまで、途中で変更する事はできません。なんでも相談できて親身になってくれるエージェントを探すことをお勧めします。

5 リタイアメントビザ、KITAS取得に必要な書類

5-1有効期限が18ヶ月以上残っているパスポートの全頁のカラーコピー

パスポートの有効期限に注意してください。新規のパスポートへの切り替えは、原則一年未満になってからですが、海外に長期滞在予定がある場合は残存期間が一年以上でも更新することができます。

5-2 年金証書・預金残高証明書、又は通帳の表紙、口座名義人の記載と最終残高の記載されたページのカラーコピー

年金証書がない場合でも、年金の源泉徴収票や年金額のお知らせなども使用できます。

最終残高については直近のもの、ということですが、特に規定はありません。

5-3 健康保険・生命保険・損害保険の証書のカラーコピー

エージェントによって違いがありますので、エージェントの指示に従ってください。国民健康保険、クレジットカードの付帯保険でもいいというエージェントも有ります。

5-4 家屋を購入した場合はその領収書、賃貸住宅の場合は賃貸役契約書、家主のKTPのカラーコピー

自分で家主と賃貸借契約を締結した場合は、賃貸借契約書のカラーコピーと家主のKTPのカラーコピーを用意してください。

KTPというのは、インドネシア国民全てが携行しなければならない身分証明書です。

もし賃貸借契約書が用意できない場合はエージェントに相談してください。

5-5インドネシア人の使用人のKTPのカラーコピー

自分で使用人を探した場合は、使用人にKTPのカラーコピーを用意してもらってください。

使用人を雇わない場合はエージェントに相談してください。

5-6 履歴書(英文)

普通はエージェントが用意してくれます。今まで私達は自分で用意したことはありません。

5-7 夫婦で移住する場合は婚姻関係を証明するための戸籍謄本

特に何ヶ月以内のもの、と言った規定はありません。

5-8 写真 4×6 10枚 3×4 4枚 2×3 4枚

5-2、5-3、5-6、5-7については、英文またはインドネシア語の翻訳が必要です。別途費用が必要なエージェントもありますので、最初に確認してください。

わからないこと、用意できない書類などがあれば、エージェントに相談することをお勧めします。おそらく、皆さんの心配事はほとんど解決できます。

6 KITASの取得手続き

6-1 KITASの取得は、リタイアメントビザでインドネシアに入国後

KITASは暫時居住許可証なので、入国後に住所地の管轄の入管事務所で行います。リタイアメントビザと同時取得ではありません。

6-2 KITASの取得に必要な書類は、リタイアメントビザ取得時に提出済み

KITASの取得のために特別に用意する書類はありません。

7 リタイアメントビザとKITASの取得までのプロセス

step
1
必要書類が揃ったらエージェントに送付

リタイアメントビザは在外公館で取得しなければなりません。

現在インドネシアに滞在していても、一旦は他国に出てインドネシア大使館または領事館で取得します。

書類を送付する時、エージェントにどこで取得するかを必ず伝えてください。ビザにも取得した国が記載されます。変更はできないので注意してください。

どこの在外公館でビザの発給を受けるかは自由です。日本なら東京のインドネシア大使館か大阪の在日本インドネシア総領事館になります。

または即日発給が可能なシンガポールで取得されそのままバリに、という方もいます。

観光ビザ60日で入国して、バリ島でエージェントの手続きをして一旦出国し、シンガポールでリタイアメントビザを取得する、という方法もあります。

step
2
テレックスビザ(VTT)を受け取る

テレックスビザは大体一ヶ月でジャカルタの移民局からエージェントに届きます。遅いと思ったらエージェントに直接お問い合わせください。エージェントから皆さんに送付されます。

これは、リタイアメントビザの発給を許可するという証明書です。ビザという名称を使っていますが、これでインドネシアに入国することはできません。

step
3
インドネシア共和国の在外公館でリタイアメントビザの発給を受ける

VTT(テレックスビザ)を受け取ったら、指定した在外公館、つまりインドネシア国外の大使館、総領事館でビザの発給を受けます。

エージェントに書類を渡す時に指定した国の在外公館で発給されます。変更はできません。

日本のインドネシア大使館、総領事館では、リタイアメントビザの発給(パスポートにビザのステッカーを貼ってもらう)に数日かかりますので、在外公館に二往復することになります。

お住まいの地域によっては時間もお金もかかりますので、日本の代行業者を使う方法もあります。日本で発給を受けるか、シンガポールなどの在外公館で発給を受けるかは、費用の面も考えて決定してください。

step
4
インドネシア入国、KITASの手続き

リタイアメントビザの発給を受けたら、60日以内にインドネシアへ入国しなければ、ビザは失効します。初日算入です。

空港に到着したら、イミグレーションカウンターでは、KITAS所有者、ビザ所有者及びインドネシア国民のレーンに並んでください。わからない時は、空港職員にビザを見せれば教えてくれます。

イミグレーションカウンターで、簡単な質問をされます。どこに住むか?くらいです。短期のビザ所有者は、帰りの航空券の提示を求められますが、リタイアメントビザ所有者は必要ありません。

故意かうっかりかわかりませんが、もし帰りの航空券の提示を求められたら、パスポートのリタイアメントビザのページを見せて、これ!と言えば大丈夫です。

入国後、速やかにエージェントに連絡して、KITAS取得の手続きを開始してください。規則では7日以内となっていますが、なるべくお早めに。KITAS取得までには大体1ヶ月から2ヶ月かかります。

書類の手続きが終わると、入管事務所に出頭して、写真撮影、指紋登録を行います。

エージェントから連絡がありますので、当日、担当者と一緒に入管事務所へ行きます。それから大体1週間でパスポートとKITASが手元にきます。

パスポートの全ページのコピーを忘れずに取っておいてください。KITAS取得が終わるまで、手元にパスポートは有りません。

KITAS取得のための書類は、リタイアメントビザを取得する時にエージェントに渡してありますので、必要ありません。費用もリタイアメントビザの取得費用に含まれていますので、新たに必要ありません。

KITASを受け取ったら必ず、名前、住所、有効期限を確認してください!結構ミスがあります。

step
5
リエントリービザについて

リエントリービザは、KITASと同時に取得することが義務付けられています。

1年の間、何度でも出入国ができるビザです。KITASの手続きと同時にエージェントが行います。費用はリタイアメントビザの費用に含まれています。

step
5
リタイアメントビザ、KITASの取得費用

リタイアメントビザ取得からKITASの取得までの費用は、エージェントによっても、準備できる書類などによっても違いますが、約¥80,000から¥90,000だと思います。(2019年の平均的レート 1円= Rp.125で算出)

他の長期滞在ビザのKITASの取得より、相当高額です。エージェントのスポンサー料も含まれています。

KITASの延長の費用も同じです。ご夫婦の場合、奥様は配偶者ビザですが、費用は同じです。

8 SKTTの取得

SKTT(Surat Keterangan Tempat tinggal)とは、日本の住基カードのようなものです。各自治体が外国人の住所を把握し、管理するために、数年前から必要になった書類です。

入管事務所ではなく、住所地のCatatan Sipilという役所で取得します。取得しなくても罰則はないようですが、KITASの延長時に必要です。

自分でもできますが、エージェントに依頼した方が確実です。

SKTTに必要なドミシリという書類は、バンジャールやKepala Desa(村役場)のスタンプや長のサインが必要で、取得は自分でしなければなりません。

まとめ

バリ島リタイアメント移住にあたって、ビザとKITASの取得は第一段階、かつ最重要な手続きです。

面倒な手続きはエージェントが全てやってくれますので、心配は無用です。御本人に特別な問題がない限り、申請したリタイアメントビザが発給されないと言う事はありません。

最後に、最近よく耳にするトラブル。最近は出入国審査を自動化している空港が増えています。日本の空港もそうですよね。職員が常駐して自動の方を進めています。

観光旅行なら特に問題はありませんが、リタイアメント移住の方は、パスポートにスタンプを押してもらった方が賢明です。

日本に帰国して住民登録する時など、帰国日が不明だと余計な手間がかかります。スタンプを押して!といえば押してくれます。

デジタル化されて便利なことも増えましたが、思わぬ落とし穴もありますね。

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